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愛犬の糖尿病を知る|症状の特徴、検査方法、栄養管理、手作り食と療法食の違い

Instagramで手作り犬ごはんのレシピや犬の健康に関する情報を発信しているリーリャ編集部(@lilya_foods)と申します。手作り犬ごはんの基本については手作り犬ごはんの作り方・レシピや注意点(量や食材、味付けなど)を解説で詳しく説明しています。 今回は、犬の糖尿病について解説します。糖尿病の基本知識、検査方法、食事などについて調べることができます。

犬の糖尿病、症状や原因

犬の糖尿病は、犬の健康にとって重要な問題で、早期発見と適切な治療が求められます。一般的な症状や原因を見ていきましょう。

犬の糖尿病の症状 

過剰な水分摂取と頻繁な排尿

多飲・多尿と呼ばれ、過剰な水分摂取とそれに伴う頻繁な排尿を示します。これは血糖値の上昇が尿に糖を多く排泄させると同時に、水分も捨てるために起きる現象です。体内の水分を尿として排出するため、水分が不足し(脱水状態)、水をたくさん飲むようになります。排尿の量を減らそうと水分補給を制限しても尿の量は減らず、脱水が進んでしまうので水分補給の制限はしないほうが良いとされています。

増加する食欲にも関わらず体重減少

犬の体内でインスリンの働きが正常でないため、食べたものがエネルギーに変わりにくくなります。そのため、体内の細胞は栄養不足(細胞内飢餓)となり食欲が増進します。しかし、血液中に糖分が多いため尿として排泄してしまうので、生命維持のためにタンパク質や脂肪を使ってしまい、体重の減少に繋がってしまいます。

運動量の減少

栄養をうまく体内に取り込めないことから、エネルギー不足となってしまい、以前ほど活発に動けなくなることがあります。徐々に栄養不足になるため、元気がなくなってきたら症状が進んでいると考えられます。

より深刻な場合の症状

糖尿病は感染性の膀胱炎・皮膚病や白内障、ケトアシドーシスといった合併症を引き起こすことがあり、種類によっては吐き気、強い倦怠感、昏睡状態に陥ることもあります。このような症状が見られた場合、すぐに獣医師の診察が必要です。

糖尿病の原因

犬の糖尿病は、非常に複雑な疾患で、多くの要素が組み合わさって発症します。糖尿病の主な原因になりうる生活習慣、遺伝、食事について解説します。

生活習慣

肥満が直接の要因で糖尿病になることは稀ですが、他の原因とともに糖尿病のリスクを高めることが知られています。適切な運動を続けることは血糖値を下げやすくすると言われています。また、ストレスによって血糖値が上がってしまうので、適度な運動を含めた生活環境の改善も注意したい点です。

食事

食事内容が不適切であると、糖尿病のリスクが高まることがあるとされています。特に、高カロリーで栄養バランスが崩れた食事は避けるべきです。ドッグフードの選定や手作り食の工夫が求められます。食物繊維が豊富だったり、血糖値の上昇を穏やかにする低GI食材と呼ばれるものが良いとされています。

年齢と性別

中高年の犬や未去勢の雌犬に糖尿病が発症しやすいという報告もあります。非避妊のメスの場合、発情後に高血糖になることがあります。発情を繰り返すうちにインスリンの分泌が低下することで糖尿病リスクが高まってしまいます。シニア犬でよくみられるクッシング症候群は、糖尿病を発症するリスクが高まることがあります。適切なクッシング症候群のケアが糖尿病リスクを下げることに繋がります。

Instagramで「ワンちゃんのごはんの糖質を気にしていますか?」というアンケートをとったところ、以下のような結果になりました。普段の食事から気にかけている方が多くいることがわかります。

質問項目回答数
病気やダイエットで制限している33
健康のために気にしてはいる134
とくに気にしてない79

犬の糖尿病の検査方法

犬の糖尿病を診断するためには、専門的な検査が必要です。以下では、その検査方法と、検査の際の注意点、タイミングについて説明します。

血液検査

犬の糖尿病の主な診断方法のひとつは、血液検査による血糖値の測定です。血糖値が通常より高いかを確認します。犬では空腹時の血糖値が180〜200mg/dlを超えると尿糖が出ると言われています。しかし、ストレスや他の健康問題も血糖値の上昇を引き起こすことがあるため、病院到着後すぐに採血するのではなく落ち着いてから行う場合もあります。

尿検査

尿検査を行い、尿糖(尿中に糖分が存在する)が陽性かの検査も行われます。採尿方法は、裏返したトイレシートの上に排尿し、スポイトなどで採尿します。お弁当に入れる蓋付きの醤油差しが、スーパーや100円ショップで売られているので便利です。外でしかしない場合は、難易度が上がりますが排尿のタイミングでトレーや紙コップを使う方法もあります。

検査のタイミング

糖尿病に限らず普段と違う様子が現れたら、できるだけ早く獣医師に相談することが重要です。早期発見により、糖尿病の管理が容易になり、合併症のリスクも低減します。

糖尿病のタイプと食事療法

1型糖尿病(インスリン依存性糖尿病)

犬の場合はこの1型糖尿病が多く、インスリンが正常に分泌されず血糖値を抑えることができない(高血糖)状態となってしまいます。インスリン依存性糖尿病(IDDM)とも呼ばれ、インスリンによる治療が必要となります。また、食事による摂取カロリーの管理とインスリンの投与量の関係が重要なポイントになります。

1型糖尿病の食事

食事からのエネルギー摂取量に合わせたインスリンの種類と量を投与します。食事をしたらインスリンを投与して、細胞内にエネルギー源であるグルコース(糖)を取り込ませた結果、高血糖状態が改善されます。そのため、症状に合わせてきちんと食べる食事の内容を決めることから始まります。逆を言うと、食べないことにはインスリンの投与ができなくなってしまいます。手作りごはんの場合は計算しないと、摂取カロリーが安定しない場合が多いので、市販の療法食をすすめられることが多いようです。

2型糖尿病(インスリン非依存性糖尿病)

犬では少ないですが、適切な食事管理を行えばインスリンの投与を必要としない状態があります。インスリン非依存性糖尿病(NIDDM)とも呼ばれ、インスリンの分泌量が不足、もしくは分泌されているが反応が鈍くなるインスリン抵抗性が原因となっている場合があります。人間や猫の場合はこの2型糖尿病が多いとされています。

2型糖尿病の食事

肥満や糖質の摂り過ぎによる影響も大きいため、食事療法の重要性が大きいと言えます。軽度の場合は適切な食事と体重を管理することで、インスリンを用いない治療をすることもあるようです。2型糖尿病の場合、少ないながらもインスリンが分泌されているので、その分泌に合わせた食事の内容や回数の管理が重要となります。

食事療法の重要性

血糖値の安定化

適切な食事によって、血糖値の急激な変動を防いだり高血糖の状態を少なくすることができます。低GI食材と呼ばれるものは血糖値の上昇を穏やかにし、高血糖状態を短くしてくれる効果があります。身近な食材ではサツマイモ、カボチャ、玄米などが挙げられます。1型糖尿病と2型糖尿病では食事の管理方法は異なる点があるので、症状に合わせて獣医師と相談して取り組みましょう。

体重管理

肥満が直接の要因で糖尿病になることは稀のようですが、糖尿病のリスクを高める要因にはなってしまいます。そのため太りすぎないように体重の管理が必要です。適切な食事や運動を取り入れて、健康的な体重の維持を心がけましょう。

QOLの向上

ストレスの少ない生活を心がけ、愛犬のQOL(Quality of Life=生活の質)の向上を意識しましょう。ストレスは人間だけでなく犬にも悪影響を及ぼします。

栄養バランスの確保

炭水化物
食事による血糖値の上昇は炭水化物の影響を受けます。低GI食材と呼ばれるものは血糖値の上昇を緩やかにし、食後の血糖値が上がりにくくなります。先述したサツマイモやカボチャ、玄米などは低GI食材として有名です。

タンパク質
合併症などによりますが、基本的にはタンパク質の制限はなく、必須アミノ酸を含む良質なタンパク質を適量取り入れることが必要です。

食物繊維
食物繊維は糖の吸収を遅らせ、血糖値の上昇を緩やかにしてくれます。食事のかさが増すので満腹感が得られやすいですが、過剰な食物繊維は食事の嗜好性低下に繋がったり便秘、必要な量を食べられないこともあるので注意が必要です。

療法食・手作り食の違い

犬の糖尿病の治療では1型・2型糖尿病のどちらの場合もインスリンを用いた治療が必要となるため、食事の管理が重要となります。療法食のメリットは安定したカロリーを摂取することができるため、インスリン投与の管理がしやすい点があります。しかし、食物繊維量が多く設計された糖尿病療法食は、嗜好性が低くなってしまう場合があります。そのため、確実に食べてくれるフード探しが重要なポイントと言えるでしょう。
手作り食の場合は、嗜好性が高く完食してくれる可能性は高くなります。しかし、きちんとした計算と調理をしないと、食事中のカロリーが安定しないと言うデメリットが考えられます。近年では市販のフレッシュフードが増えてきていますが、必要な栄養素が摂ることができて糖尿病にも配慮された商品となると探すのが困難です。症状などによっては手作り食も取り入れられる場合もありますが、慎重に取り組んだ方が安全と言えます。

まとめ

糖尿病は、診断は容易ですが治療は困難と言われています。治療も適切な食事管理やインスリンの管理など飼い主が主体となって行うことが多くなってしまうことが現実です。重症化したり合併症を伴ったりすると生命に関わってしまいます。適度な運動や必要に応じた避妊手術などで予防しながら、いつもと違う様子が見られる場合は速やかに獣医師に相談するようにしましょう。

参考
糖尿病治療における食事療法の重要性 長谷川 承
糖尿病動物の栄養管理 森 昭博

lilya編集部
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