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グレインフリーのドッグフードはどんなフード?

Instagramで手作り犬ごはんのレシピや犬の健康に関する情報を発信しているリーリャ編集部(@lilya_foods)と申します。手作り犬ごはんの基本については手作り犬ごはんの作り方・レシピや注意点(量や食材、味付けなど)を解説で詳しく説明しています。 今回は、市販のドッグフードの中でも色々なメーカーが販売しているグレインフリーのドッグフードについて解説します。

Instagramで「グレインフリーのごはんをあげていますか?」とアンケートをとったところ以下の結果になりました。

質問項目回答数
必ずグレインフリーにしている60
毎回ではないけどできる限り取り入れている41
たまに、もしくは過去にあげたことがある23
グレインフリーは気にしていない43

また、同じくInstagramでグレインフリーのドッグフードをあげている理由のアンケートをとったところ、以下のようになりました。

質問項目回答数
穀物アレルギーがあるから46
人から勧められたから(友人や獣医師など)14
健康に良いと聞いたから50
グレインフリーのごはんはあげていない49

このようにグレインフリーに対して関心の高い方が多いことがわかりました。様々なドッグフードが売られていますが、特に近年ではグレインフリーがかなり増えたように感じます。グレインフリーがなぜこんなに流行っているのかを見ていきましょう。

グレインフリーとは?

その名の通りグレイン(穀類)を使用しないという意味です。穀類には禾穀(かこく)類、菽穀(しゅこく)類、擬似穀類に分かれます。禾穀類はイネ科の種子のことを指し、米・麦・トウモロコシ・キビ・アワ・ヒエなどが含まれます。菽穀類は大豆・小豆・えんどう豆などのマメ科の種子を指します。擬似穀類はソバ・キヌア・アマランサスなどが含まれています。狭義の意味の穀物はイネ科の種子の禾穀類のみを指し、広義の意味では豆類やソバ・キヌアなども含まれることが一般的なようです。ペットフードでグレインフリーと言うと麦や米などの禾穀類は使われていませんが、代わりの炭水化物源としてえんどう豆などの豆類が使われることが多いです。

グレインフリーとグルテンフリーの違い

グレインフリーと似た言葉でグルテンフリーがあります。グレインフリーはグレイン(穀類)が使われていないことがわかりましたが、グルテンとはなんのなのでしょうか。グルテンは小麦に含まれるタンパク質のことで、水を加えてこねることで粘りが出る特性があります。ペットフードでは炭水化物源になるほか、フードの形状を保つ効果もあり、製造上でも大きな役割を持っています。グルテンフリーは小麦や大麦などに含まれるタンパク質であるグルテンを含まないということになります。

なぜグレインフリーやグルテンフリーが流行っているのか

人間の食事においてもグレインフリーが注目されて久しいですが、穀類に含まれる糖質を制限することによって太りにくくしたり、著名なスポーツ選手がグルテンフリーにしたことで、体調が良くなり良い結果を出せた影響が大きいと言われています。ドッグフードでは食物アレルギー対策や犬本来の食性に近い、穀物の消化が苦手、穀類はカサ増しのために使われているといった主張がみられます。タンパク質が多いドッグフードを良いフードとする傾向もあり価格も高くなるため、結果としてプレミアム感も演出されています。また、ドッグフードを紹介するサイトではグレインフリーのフードが良いフードとして紹介されることも多いこともあり、グレインフリーのフードが良いというイメージが広まっているのではないかと考えられます。

グレインフリーは本当に正しいの?

上記で出てきたイメージについて考えてみましょう。

食物アレルギー対策になる

食物アレルギーはタンパク質に過剰に反応してしまうことで症状が出ることです。穀物にはタンパク質が含まれているため、アレルギー源になる場合がありますが、実際は牛肉や乳製品の方がアレルギー源になる場合が多いとされています。

犬本来の食性に近いので、穀類は不要

オオカミが祖先である犬は肉食動物と言われがちですが、肉以外のものを食べていけないわけではありません。肉食寄りの雑食と言われており、穀類が体に悪かったり消化できないわけではありません。総合栄養食の基準となっているAAFCOの養分基準には、炭水化物の項目がないため不要と唱える説もありますが、なくても良いだけであって食べていけないわけではありません。

穀物の消化が苦手

加熱調理することで消化吸収されることがわかっています。人間でも炊飯前の米や、調理前の小麦粉を食べるとお腹を壊すことがあるように、犬でも同じことが言えます。正しく調理された炭水化物なら問題ないとされています。

カサ増しに使われている

確かにコストを抑えるためにタンパク源となる肉類を減らし、小麦やトウモロコシなどの炭水化物を増やすことはあるでしょう。しかし、カロリーはタンパク質・脂質・炭水化物から計算されます。穀物不使用だと炭水化物が減るので、タンパク質と脂質からカロリーを賄うようになります。多すぎるタンパク質は腎臓などに負荷をかけると言われていますので、健康状態によっては注意が必要です。

グレインフリーのドッグフードのメリットとデメリット

メリット

穀類のアレルギーを避けることができる

穀類にアレルギーがあることがわかっている場合は避けなければいけません。ただし、穀物以外にもアレルギーがある場合は同じく避けなければいけないので、グレインフリーが全てのアレルギーを回避できるわけではありません。

デメリット

価格が高くなりがち

グレインフリーが特徴のフードはプレミアムフードとして販売されることが多く、肉や魚の使用量も多いため価格が高くなりがちです。ドライフードでは大容量のものもありますが、一度開封すると酸化し始めてしまいます。酸化した油分は体に悪影響があるので、一般的に1ヶ月程度で使い切れる量が良いとされています。

腎臓や肝臓への負担がかかる可能性がある

炭水化物を多く含む穀物を使わないため、タンパク質の量が増えます。タンパク質は必要な栄養素ですが肝臓や腎臓を通過して代謝されるので、過剰なタンパク質は負担が増えると言われています。

手作りごはんでのグレインフリー

カロリー(エネルギー)を穀物以外で賄う必要がある

食事中のカロリーはタンパク質・脂質・炭水化物で計算されます。穀類は炭水化物が多く含まれているので、その分を肉類や芋、豆、オイルなどから補わないといけません。手作りごはんはドライフードに比べると、水分が多く含まれているためカロリーや栄養素が希釈されるので、タンパク質や脂質に偏る傾向があります。腎臓がよくない場合や膵炎に気をつけたい時など、体調によっては注意が必要です。

別の食材で炭水化物を補うことになる

市販フードでもグレインフリーフードは穀類を使っていない代わりに、豆類や芋類を使っていることが多く、これらでカロリーなどのバランスをとっていると考えられます。運動量が少なく体重をあまり増やしたくない場合は、血糖値が上がりにくい低GI値のさつまいもや蕎麦、豆腐などを使うのも良いでしょう。

まとめ

穀物アレルギーなどの特別な理由がない限り、必ずしもグレインフリーにこだわらなくても良いのではないでしょうか。また、プレミアムフードとして販売されているものも多く、「グレインフリーは良いもの」というイメージがついてしまっているかもしれません。人間も同じですが、バランスと体調に合わせた食事をすることを心がけましょう。

参考
小動物の臨床栄養学 第5版

lilya編集部
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