この記事では、犬の体調不良のサインと緊急時の対応方法、かかりやすい病気と症状について解説しています。緊急時には慌てずに速やかに行動するのはもちろん、普段から愛犬の様子をよく見てあげてください。
この記事は、Instagramで手作り犬ごはんのレシピや犬の健康に関する情報を発信しているリーリャ編集部(@lilya_foods)が作成しています。
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よく見られる体調不良のサイン
病気や体調不良の際には体の部位によって次のような変化が見られることがあります。このようなサインを見つけたら注意深く愛犬の様子を確認してあげてください。
目
目やにが出る・目を痒がる・充血している・目が濁っている
耳
耳がにおう・耳の中が汚れている・耳を痒がる
口内
口臭がする・歯石がついている・歯茎が腫れている
皮膚
皮膚が赤い・湿疹がある・しこりやイボがある
足
足を引きずる・スキップのように歩く
その他
太り過ぎ・痩せすぎではないか・呼吸が荒い・下痢や血便がある・嘔吐を繰り返すなど
緊急時の対応
明らかに苦しそうだったり急激に体調が悪化している場合は、速やかにかかりつけの動物病院に連絡して指示を仰ぎましょう。休日や夜間でも対応してくれる病院をあらかじめ調べておくことも大切です。旅行や遠出の外出など普段の動物病院を頼れない場所に行く場合は、外出先の近くで頼れる動物病院を予め探しておくと安心です。
把握しておきたいこと
- かかりつけの動物病院の連絡先・診療時間
- 24時間・夜間対応してくれる動物病院
獣医さんに報告すべき内容のチェックリスト
- いつ何をどれだけ食べたのか(誤飲の場合)
- 外傷はあるか(事故にあった、他の犬と喧嘩した場合など)
- 痛がっている様子はあるか
- 呼吸は正常か
- 食事はできているか
- 嘔吐はあるか
- 排泄物の状態
- 眼・耳・皮膚の状態
一般的な病気と症状
犬がかかりやすい一般的な病気にはさまざまなものがありますが、かかりやすい病気というものがあります。ペット保険大手のアニコムホールディングスが毎年公開している「家庭どうぶつ白書」では犬がかかりやすい病気をを紹介しています。
犬がかかりやすい病気(多い順)
1.循環器疾患
血液が循環する心臓などの病気で僧帽弁閉鎖不全症、心不全、心筋症などが当てはまります。
2.呼吸器疾患
呼吸に関係する肺などの病気で気管虚脱、肺炎、気管支炎などが当てはまります。
3.消化器疾患
消化に関係する胃や腸、食道などの病気で、炎症性腸疾患(IBD)、胃腸炎などが当てはまります。
4.肝臓・胆嚢・膵臓疾患
肝臓、胆嚢、膵臓は、消化器系で重要な役割を果たす臓器でそれぞれが密接に関係しています。肝臓病、胆泥症、膵炎などが当てはまります。
5.泌尿器疾患
尿が作られて排出されるまでの経路での病気で、膀胱炎、膀胱結石、腎臓病などが当てはまります。
6.生殖器疾患
オス・メスによってかかる病気が変わりますが、子宮蓄膿症や前立腺炎などが当てはまります。
7.神経疾患
多くの身体機能に関係しているので症状が多岐に渡ります。てんかん、前庭疾患、水頭症などが当てはまります。
8.眼の疾患
老齢性のものや遺伝性の疾患も多く、白内障、緑内障、チェリーアイなどが当てはまります。
9.耳の疾患
犬の耳は風通しが悪く、細菌が増えやすい環境です。外耳炎、中耳炎などが当てはまります。
10.歯・口腔疾患
犬は虫歯にはなりにくいですが、歯周病になりやすい口腔環境です。歯周炎、歯肉炎などを総称した症状を歯周病と言います。
次に、よくかかる病気の一部の症状や予防法を解説します。
目
流涙症(涙やけ)
- 症状
目の周辺に涙が溢れてしまう状態です。目頭に流れた涙を放置すると、細菌が繁殖して目の周りの毛が褐色に着色され、涙やけと言われる状態になります。
- 原因
アレルギー症状や逆さまつげなど目の痛みで涙の量が増えていたり、涙が排出される通り道の鼻涙管が詰まったり狭くなっている(鼻涙管閉塞)場合があります。
- 予防・対処法
目に毛が入っているのであれば入らないように切ったりしましょう。鼻涙管の異常は予防できませんので、気になる場合は獣医師に相談しましょう。なお、今のところ食事によって予防・改善できたという明確な報告はないようです。食事で改善することも可能性もゼロではないですが、食事以外の原因も探すようにしましょう。
- 治療
コットンなどの柔らかいもので目の周りをこまめに拭いてあげることで細菌の繁殖を防ぎます。根本的な治療として外科手術が必要になる例もあります。
結膜炎
- 症状
瞼の裏側が炎症を起こしている状態です。瞼が腫れたり、充血、目やに・涙が増える、目を痒がるといった症状が見られます。
- 原因
ウイルスや細菌による感染性結膜炎と、アレルギーや逆さまつげ、外傷、ドライアイなどが原因の非感染性結膜炎にわかれます。
- 予防・対処法
結膜炎になりやすいのであれば普段から愛犬の目をチェックし、結膜炎を防止する目薬を定期的に投与してください。また炎症の原因を調べて取り除いたり、接触をさけるのも有効です。
- 治療
原因によって治療が異なりますが、感染性結膜炎の場合は抗菌剤などの点眼薬や軟膏を使い治療します。非感染性では、逆さまつげを抜いたり、アレルギーやドライアイの原因となるものを取り除きます。
白内障
- 症状
眼の中の水晶体が白く濁ってきて、最終的には目が見えなくなってしまいます。症状の進行状況によって4段階のステージに別れます。
- 原因
加齢によるものや遺伝的な要因が多いほか、糖尿病などと併発するケースもあります。
- 予防・対処法
加齢によるものは予防が難しいですが、抗酸化作用のあるビタミンCやアントシアニンを含むサプリメントを勧められることがあります。また、定期的な検査も大切です。
- 治療
再び見えるようにするためには外科手術で人工のレンズを入れるしかありません。手術以外だと、視力が低下しても生活しやすいような室内環境にしてあげたり、なるべく家具の配置を変えない配慮も必要です。
耳
外耳炎
- 症状
外耳炎は、耳の外耳道の炎症や感染によって引き起こされます。頭を激しく振ったり、耳をかいたりすることが多くみられます。耳の中が赤く腫れたり、耳垢や異臭があったりすることも症状の一部です。
- 原因
外耳炎の原因はさまざまで、耳の湿気や水分、異物の侵入、アレルギー反応、ダニや細菌、真菌の感染などがあります。
- 予防・対処法
定期的に耳を洗浄したり、シャンプーや水遊び後はしっかりと乾かすようにしましょう。アレルギー反応を引き起こす可能性がある食品や環境を避けることも有効です。
- 治療
症状や原因に応じて、抗生物質や抗真菌薬、抗炎症薬などが処方されます。耳を清潔に保ち、処方された薬を定期的に使用することが治療の重要です。
内耳炎
- 症状
犬の内耳炎は、耳の内耳部分で起こる炎症や感染によって引き起こされる耳の問題です。典型的な症状には、頭を傾けたり、頭を振ったりする行動、バランスが取れなくなったりします。
- 原因
外耳炎や中耳炎が内耳に広がることがあります。他にも細菌や真菌の感染、アレルギー反応、外傷、耳ダニ、内部の異物などが原因となる場合もあります。
- 予防・対処法
耳を清潔にし、耳が濡れたり湿気を含んだりしないようにしましょう。定期的な検査も大切です。アレルギー反応を引き起こす可能性のある環境や食品を避けることも予防に効果的です。
- 治療
抗生物質や抗真菌薬、抗炎症薬が処方されます。重症の場合は、手術が必要になる場合もあります。
口内
歯周病
- 症状
犬の歯周病は、歯と歯ぐきの周囲の組織に炎症が生じる疾患であり、進行すると歯を支える組織が破壊される可能性がある。典型的な症状には、口臭、歯ぐきの腫れ、赤み、歯石の蓄積、歯肉の出血や膿、歯の抜け落ちが挙げられます。
- 原因
歯周病の主な原因は、歯垢と歯石の蓄積による細菌です。歯磨きが不十分だと歯垢がたまり歯石となります。また、犬は3日ほどで歯石化してしまいます。
- 予防・対処法
定期的な歯磨きや歯のケアが重要です。また、定期的な獣医師の検診を受け、早期に歯周病が疑われる場合は迅速な治療を行うことが大切です。
- 治療
歯石の除去や歯のクリーニング、抗生物質や抗炎症薬の投与が行われます。進行した歯周病の場合は、歯の抜歯や外科手術が必要になることもあります。
皮膚
疥癬(かいせん)
- 症状
皮膚の湿疹や発疹、かゆみによる激しい掻痒、毛の抜け落ちや脱毛が挙げられます。顔や耳、肘の内側、足裏など、皮膚の薄い部分に特に症状が現れやすい傾向があります。
- 原因
ヒゼンダニによる感染で、接触感染によって犬から犬へと広がり、犬が感染した環境や衣類、寝具などを介して広がる可能性もあります。
- 予防・対処法
予防としては予防薬を定期的に使用し、ダニが付着しないようにしましょう。
- 治療
一般的な治療法には、皮膚の洗浄や駆虫薬の使用、抗生物質や抗真菌薬の処方がされます。
膿皮症
- 症状
皮膚の赤みや腫れ、膿や化膿物の排出、かゆみや痛みによるかきむしったり舐めたりする行動が挙げられます。皮膚の感染や炎症が進行すると、毛の抜け落ちや脱毛が見られる場合もあります。
- 原因
原因はさまざまで、細菌や真菌の感染、アレルギー反応、皮膚の損傷や刺激、代謝異常、免疫不全などが考えられます。環境の変化やストレス、遺伝的な要因も膿皮症の発症に関与する可能性があります。
- 予防・対処法
定期的なスキンケアが重要です。アレルギー反応を引き起こす可能性のある食品や環境を避け、健康的な食事や生活環境を提供することも予防に役立ちます。
- 治療
感染が疑われる場合は、皮膚から検体を採取して細菌や真菌の検査を行うことが重要です。抗生物質や抗真菌薬、抗炎症薬の使用が処方されることがある。また、皮膚を清潔に保ち、薬剤の塗布や経口投与を行うことで治療が行われる。
足
膝蓋骨脱臼(パテラ)
- 症状
膝関節にある膝蓋骨(パテラ)がその位置から外れる状態を指します。典型的な症状には、後ろ足の痛みや不快感、歩行困難や跛行などがあげられます。
- 原因
遺伝的要因や先天性の原因が多くみられます。過度の運動や急な体重の変化、肥満なども脱臼のリスク要因として考えられます。
- 予防・対処法
体重管理や室内環境を整えることが大切です。フローリングなどで滑ってしまう場合はカーペットなどを敷いて滑らないようにしましょう。
- 治療
4段階のグレードによって対処法が変わります。初期段階ではサプリメントの服用や体重管理、生活環境の改善などをします。外科手術を行う場合は、状態や年齢などで術式が異なるので獣医さんと相談しましょう。
まとめ
病気は緊急時の速やかな対応も重要ですが、日ごろからスキンシップやお手入れを通して愛犬の状態をチェックすることが重要です。また、特に食事は日ごろから気を付けることで病気の予防につながったり、病気になった際は特定の栄養を調整する必要がある場合があり、とても重要です。手作りで愛犬のごはんにこだわりたいという方向けにたくさんのレシピをご紹介していますので、よければこちらもご覧ください。