この記事では
- 手作りで犬ごはんを作っていると不足しがちな栄養素がある
- 不足しがちな栄養素が足りないと犬にどのような影響があるか
- 不足しがちな栄養素はどのように補給したらいいのか
ということについて解説しています。手作りで犬ごはんを作っている方は、ぜひご覧下さい。
この記事はInstagramで手作り犬ごはんのレシピや犬の健康に関する情報を発信しているリーリャ編集部(@lilya_foods)が書いています。Instagramでは手作り犬ごはんレシピを公開していますので、こちらもご覧ください。
犬の栄養バランス
日本人の場合は厚生労働省が食事摂取基準という健康で生活するために必要な栄養素の量を決めたものがありますが、犬の場合もAAFCO(全米飼料検査官協会)という団体が定めた基準があり、日本で販売されているドッグフードは主にこちらをもとに製造されています。日本で総合栄養食として販売されているドッグフードはAAFCOの定めた基準をクリアしているものになります。
AAFCOの栄養基準と手作り犬ごはんで不足しがちな栄養素
AAFCOでは40項目の栄養素について基準が設けられていますが、スーパーなどで入手できる食材を使って手作り犬ごはんを作ると特定の栄養素が不足しがちになります。特に足りなくなりがちな栄養素は、カルシウム、亜鉛が挙げられ、他には鉄、銅、ヨウ素、セレン、ビタミンA、ビタミンDがAAFCO栄養基準より下回る場合があります。また、カルシウムとリンのバランスは1〜2:1とされており、このバランスをクリアすることも困難な場合があります。特にカルシウム、亜鉛に関しては一般的な食材でクリアすることはかなり難しい数値が設けられているといえます。
栄養が足りていない場合の影響
不足しがちな栄養素ごとに不足すると、どのような影響があるか解説します。
カルシウム(特に不足しがち)
不足すると骨がもろくなり、神経や脳の機能が正常に動かなくなったります。
リン
不足すると成長不良や食欲不振になりますカルシウムとのバランスが重要な栄養素です。
鉄
不足すると貧血や疲れやすくなり、免疫力低下による感染症リスクが増します。
銅
不足すると貧血や疲れやすくなり、被毛の質の低下、成長不良などもおきます。
マンガン
不足すると骨や軟骨が弱り、生殖能力の低下などがおこります。
亜鉛(特に不足しがち)
不足すると皮膚や被毛に異常が出やすく、食欲不振や生殖能力が低下したりします。
ヨウ素
不足すると甲状腺の機能が低下して活力や皮膚・被毛の質の低下などがおこります。
セレン
不足すると食欲低下、老化、脱毛、骨格筋・心筋に障害がおこります。
ビタミンA
不足すると粘膜が弱くなり感染症にかかりやすくなったり、皮膚や目に影響します。
ビタミンD
不足すると骨に異常がでたり、発育不良につながります。
ビタミンE
不足すると貧血、動脈硬化、食欲不振筋肉の萎縮、皮膚炎などの原因になります。
ビタミンB1
不足すると疲労感やむくみ・しびれ、筋力低下などの症状の原因となります。
ビタミンB2
不足すると肌がただれたり脱毛といった症状や食欲不振・成長低下にもつながります。
ビタミンB12
不足すると成長不良、食欲不振、貧血などの原因となります。
メチオニン
不足すると被毛の状態が悪くなり、脆くなってしまいます。
不足しがちな栄養素を補う方法
食材だけで基準を満たすこともできるのですが、特定の食材を毎食大量に使用することになるため、金銭的な問題や食いつきの観点からあまり現実的ではありません。リーリャの犬ごはんでも100以上のレシピを作った結果、一定の栄養素はサプリメントから摂取すべきだという結論になりました。ただし、手作り犬ごはん専用サプリメントは日本ではまだまだ少なかったり、あっても自分では使いたくないものしかないため自分で作ることにしました。
こちらのサプリメントは専用レシピと組み合わせることで総合栄養食と同水準の栄養を摂ることができますので、手作り犬ごはんを作っている方はぜひご覧ください。
https://shop.lilya.jp/products/mv-mineral
完璧に補うことは難しいのでサプリメントの併用をお勧めしますが、ミネラル類については以下の食材を使用することである程度補うことが可能ですので参考までに記載します。
カルシウムを補いたいとき
桜エビ(素干し)、乾燥バジル、煮干し(かたくちいわし)、パルメザンチーズ、乾燥パセリ、炒りごま、干しひじきなどが特に多く含まれています。野菜ではパセリ、大根の葉、モロヘイヤ、カブの葉、水菜などが多く含まれています。ただし、リンも多く含まれていることが多いので多量にあげてしまうとリンが過剰になってしまう恐れがあるので、注意が必要です。また、パルメザンチーズは塩分も含まれているのであげすぎに注意です。
シュウ酸が多く含まれている食材もあるので、必要に応じて茹でこぼすなどの下ごしらえをした方が良い場合もあります。
※生のエビは中毒症状が出てしまうので食べさせてはいけません。
亜鉛を補いたいとき
加熱した牡蠣、牛肉、イワシ、乾燥まいたけなどが特に多く含まれています。野菜では切り干し大根、枝豆などに多少含まれています。こちらもリンが多く含まれることがあるので多量にあげないようにしましょう。乾物は栄養価が凝縮されている分、高濃度になっているものもあります。例えば乾燥まいたけはビタミンDが多く含まれています。
※生の牡蠣は中毒症状が出てしまうので食べさせてはいけません。
鉄を補いたいとき
海苔、煮干し、乾燥キクラゲ、豚レバー、などに特に多く含まれています。野菜ではパセリ、大根の葉、切り干し大根などが比較的多く含まれています。干しひじきは鉄分が豊富なイメージがありますが、鉄釜で作られたものとステンレス釜で作られたものがあります。ステンレス釜で作られた干しひじきは鉄釜に比べおよそ10分の1程度しか含まれていません。
香辛料のバジル粉も豊富に含まれていますが、一度に使用する量は多くないのであまり期待できません。
参考:AAFCOとは
AAFCOとは米国飼料検査官協会(The Association of American Feed Control Officials)のことで、頭文字をとってAAFCO(アフコ、アーフコ)と呼ばれている団体で、ペットフードの栄養基準を公開したり表示について基準を設けています。ただし、基準を設けているのは栄養素に関してのみで使われる食材に対しての基準は厳格に設けてはいません。そのたAAFCOの栄養基準を満たしていることと、良質な食材が使われていることはイコールではありません。