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犬の腎臓病とドッグフードの選び方・気をつけるポイント

Instagramで手作り犬ごはんのレシピや犬の健康に関する情報を発信しているリーリャ編集部(@lilya_foods)と申します。手作り犬ごはんの基本については手作り犬ごはんの作り方・レシピや注意点(量や食材、味付けなど)を解説で詳しく説明しています。 今回は、腎臓病の犬のドッグフードの選び方と気をつけるポイントについて解説します。犬の腎臓病の基本知識から対処法、検査方法などについて調べることができます。

SNSを通じて犬の手作りごはんについて発信していると、「腎臓病なんですが、どんなごはんが良いですか?」というご質問が多く寄せられます。犬・猫ともに腎疾患で悩んでいる方は多く、インターネットでも闘病生活のブログを多数見ることができます。この記事では、悩んでいる方の多い腎臓病についてと腎臓病の時の食事について取り上げます。

腎臓の主な働き

腎臓は、老廃物を濾過して尿を作り、体外へ排出します。また、ホルモンを合成したり分泌することで、血液を作る働きにも関わっています。さらに、尿を作る段階で物質が再吸収されることで、脱水症状や栄養不足になることを防いでいます。他にも、ビタミンDを活性化させ、カルシウムの吸収促進にも影響があるなど、たくさんの重要な働きをしています。

犬の腎臓病とは?急性腎臓病と慢性腎臓病の特徴と違い

急性腎臓病の特徴

様々な原因によって腎臓の機能が短期間で急激に低下してしまう症状です。原因としては、感染症やぶどうや植物、重金属、農薬などの毒性のある物を食べてしまう場合や、尿石症などにより尿を出せなくなってしまう場合などがあげられます。また、慢性腎臓病に移行してしまうケースもあります。慢性腎臓病と違い、回復する可能性があります。また、急性腎臓病は症例が少なく、慢性腎臓病のような進行による明確な治療基準はないとされています。

急性腎臓病の症状

食欲不振、嘔吐、下痢、元気がないなど様々な症状が現れます。進行が進むと、老廃物が排出できなくなることで尿毒症となってしまう危険があり、痙攣や昏睡状態になってしまうこともあります。

急性腎臓病の対応・予防

原因によって治療が変わりますが、一般的には点滴や利尿剤を投与などが行われます。いち早く治療を始める必要がありますので、すぐに病院へいく必要があります。また、人間と同様に人工透析もありますが、費用面や設備をもつ施設が少ないのが現状です。

屋内外での誤飲・誤食がないように普段から気をつける必要があり、蓋付きのゴミ箱や扉がついた容器を活用し未然に防ぎましょう。原因の一つでもあるレプトスピラは感染症で、ワクチン接種で防ぐことができます。適切な時期に接種し、愛犬を守りましょう。

慢性腎臓病の特徴

全ての犬・猫に見られ、遺伝的な要因や高齢になると増える傾向があります。長い期間で徐々に腎臓の機能が低下した状態ですが、失われた腎臓の機能は回復しないと言われています。普段の食生活・栄養管理も大きく影響するので、早い段階での食事管理が勧められています。タンパク質やリンの制限が代表的ですが、どちらも身体作りには欠かせない栄養素です。無闇に制限せず、獣医師に相談しながら取り組みましょう。また、1〜4までのステージに分けて診断されます。

慢性腎臓病のステージと症状
ステージ1ほぼ無症状で血液検査での異常は見られないが、尿濃縮能が低下。
ステージ2クレアチニンや尿素窒素がわずかに正常値〜やや高くなり、多飲多尿が見られます。
ステージ3クレアチニン、尿素窒素はさらに上昇。多飲多尿のほか、食欲不振、嘔吐、体重低下などが見られます。
ステージ4末期症状として尿毒症がみられ、食欲不振や嘔吐が続き、様々な症状があり大変危険な状態です。

腎臓病で行なわれる主な検査方法

血液検査

クレアチニン(Cre)

以前より判断に使われていた項目で、数値の上昇や基準値内かどうかが見られます。クレアチニンは腎機能が75%以上失われないと上昇しないため、どうしても発見が遅れてしまいます。また、筋肉量に影響されるので、痩せてしまったシニアには過小評価されてしまう可能性もあります。

SDMA(対象性ジメチルアルギニン)

近年になって日本国内でも行われるようになってきた検査です。SDMAは本来、腎臓で濾過されるため、この数値が上昇するということは腎機能が低下していると言えます。腎機能が40%失われると変化が現れるので、早期発見ができるとされています。クレアチニンや尿素窒素の数値と合わせて使用することで、早期発見につながるとされています。病院内で検査できる場合が少なく、外部検査に出すので時間がかかることが多いです。

血中尿素窒素(BUN)

クレアチニン、SDMAと合わせて判断材料として用いられます。腎機能の低下でも変化が見られますが、高タンパクな食事や食後の採血などにも影響されるので、必ずしもこの数値が上がったから腎臓病になったとは言えません。

慢性腎臓病のステージごとのクレアチニン、SDMAの数値
ステージクレアチニンの数値SDMAの数値
ステージ1<1.4<18
ステージ21.4〜2.818〜35
ステージ32.9〜5.036〜54
ステージ4>5.0>54

参考:国際獣医腎臓病研究グループ(IRIS)の慢性腎臓病ガイドライン

問診・触診

特に急性腎臓病が疑われる場合は、何か毒性のあるものは食べていないか、量、時間経過などを確認します。脱水状態の診察もされます。また、レントゲンや超音波による画像診断では、腎臓の大きさや尿路閉塞がないかを見ることができます。

検査の注意点

尿検査をする場合もあり、それぞれの検査結果を総合的に見ることで腎臓の状態を把握し、どのように対処していくかが診断されます。単独での数値が基準外になってしまったからと言って腎臓病だと判断せずに、獣医師からの説明をよく聞きましょう。また、定期的に健康診断などで数値の変化を見ることも大切です。

犬がなりやすい慢性腎臓病とは?

腎臓の病気は猫が多いというイメージを持つ方もいるかもしれませんが、犬にも多くみられる病気です。若くして腎臓の機能が落ちてしまう場合もありますが、年齢を重ねていくうちに腎臓の機能が衰え、健康診断などの血液検査でわかる場合もあるようです。残念ながら慢性腎臓病は治らない病気とも言われています。長く付き合っていく病気となりますが、進行具合に応じた食事療法が効果があると言われており、いかに進行を遅らせるかが重要なポイントとなります。

腎臓病をもつ犬のドッグフードとは?手作りごはんの場合も

療法食や早期対策フード

療法食までではないけれど、早いうちから対策したい場合は、タンパク質やリンが抑えられた早期対策フードもあります。血液検査で数値が気になりだしてきたら取り入れても良いかもしれません。療法食も多く販売されており、いろいろなタイプのものがあります。タンパク質やナトリウムなどを制限しているので味気なく、食欲が落ちているとなかなか食べてくれないことも珍しくありません。

手作りごはんの場合

食欲の低下や療法食を食べてくれない、他の病気との併発などの理由から、手作りごはん中心やトッピングをする方もいます。その場合はなんとなくではなく、きちんと計算する必要があります。栄養計算には、人間の管理栄養士も使う食品成分表や文部科学省の食品成分データベースを参考にすると良いかと思います。食材の時期や産地でブレはありますが、参考値として計算に使うことができます。また、タンパク質を制限するということはカロリー摂取量も減ることになります。減った分は炭水化物・脂質で補うしかないのでそれぞれのバランスに注意しましょう。抗炎症作用のあるオメガ3脂肪酸や、ビタミンCやビタミンEのような抗酸化物質も効果があると言われています。
取り入れる場合は、注意する食材を把握しつつ、獣医師に相談してからにしましょう。

腎臓病予防するために気をつける栄養素について

タンパク質

一般的にタンパク質の過剰な摂取は、腎臓病を悪化させてしまうことが知られています。高タンパクな食事は避けた方が良いですが、早い段階で極端な制限は痩せてしまい筋肉が落ちてしまいます。獣医師と連携して適度な制限をしたり、日頃から高タンパクな食事にならないように気をつけましょう。また、高タンパクな食事に慣れていると、療法食のような制限された食事への切り替えが難しくなる場合もあります。

リン

リンは骨や内臓など多くを構成しており、カルシウムとともに骨や歯を作ります。本来はリンが過剰になると排出されますが、腎機能が低下すると血中に蓄積されてしまいます。パラソルモンというホルモンがバランスを摂るように指示をしますが、腎機能が低下していると、カルシウムが増えすぎてしまい欠席の原因や腎機能の悪化を招くとされています。肉類にはリンが多く含まれているので、必然的に肉類を制限したフードが必要になります。リン吸着剤という薬もありますが、100%取り除けるわけではありません。

ナトリウム

ナトリウムは腎臓で濾過されるため、腎機能が低下していると大量のナトリウムを濾過できなくなってしまいます。そのため、血圧の上昇に繋がり慢性腎臓病にはよくない状態に繋がってしまいます。制限し過ぎてしまうと脱水に繋がり、これも慢性腎臓病にはよくない状態になってしまいます。近年では、初期の場合はナトリウム制限はしなくても良いとされていますので、進行具合に合わせて獣医師の指導のもと行いましょう。

まとめ

急性腎臓病は感染症や誤飲が原因もあるため、人間側が気をつけることで避けることができます。適切なワクチン接種や家庭内の環境を今一度見直してみましょう。慢性腎臓病はなるべく早く気付けるように、少なくとも年一回は健康診断をして、状態を把握してあげるようにしましょう。運動量が少ないのに高タンパクなフードの場合は見直す機会にしても良いかもしれません。

参考:IRIS CKDガイドライン
https://www.idexx.co.jp/ja/veterinary/reference-laboratories/sdma/sdma-iris/
小動物の臨床栄養学第5版

lilya編集部
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