Instagramで手作り犬ごはんのレシピや犬の健康に関する情報を発信しているリーリャ編集部(@lilya_foods)と申します。手作り犬ごはんの基本については手作り犬ごはんの作り方・レシピや注意点(量や食材、味付けなど)を解説で詳しく説明しています。 今回は、犬の消化器の病気について解説します。膝蓋骨脱臼(パテラ)の基本知識、症状、食事などについて調べることができます。
犬の膝蓋骨脱臼(パテラ)のポイント
膝蓋骨脱臼(パテラ)は、膝の骨(膝蓋骨)が正常な位置からずれてしまう状態を指します。膝のお皿状の骨である膝蓋骨(しつがいこつ)自体をパテラと呼びますが、膝蓋骨脱臼自体をパテラと呼ぶことが多いです。
本来であれば、膝蓋骨は太ももの骨(大腿骨)の膝部分の滑車溝と呼ばれる溝にはまっており、正しい位置で膝蓋骨が移動することで膝関節をスムーズに動かすことができます。
膝蓋骨がこの溝から外れてしまう(脱臼)してしまうと、正しく膝関節を伸ばせなくなってしまい、歩行や関節に悪影響が出てしまいます。
膝蓋骨脱臼(パテラ)の概要
症状
脱臼の程度によってグレード1〜4に分類されます。
グレード1
膝蓋骨は普段は正しい位置に収まっていますが、手で押すと外れる状態です。激しい運動後などにまれに症状が出る程度で、スキップのような動作をすることがあります。
グレード2
膝蓋骨は普段は正しい位置に収まっていますが、後ろ足を曲げ伸ばしすると脱臼し、手で押すと元の位置に戻ります。
グレード3
膝蓋骨は日常的に脱臼した状態で、手で戻すと一時的に戻りますが、すぐに外れてしまいます。後ろ足をつかないように歩いたり、他の骨が変形するなどの影響が見られる場合があります。
グレード4
膝蓋骨は常に脱臼した状態で、手で押しても元の位置に戻りません。他の骨も変形してしまい、後ろ足をつけなかったりうずくまるようにして歩きます。
原因
先天的に筋肉や靭帯、骨などに異常があり正しく動かない場合があり、遺伝的な要因が影響していると考えられています。トイプードル、チワワ、ポメラニアンなどの小型犬によく見られます。
そのほかには、高所から飛び降りたり外傷などにより膝に強い負担がかかることで膝蓋骨脱臼になってしまう場合があります。
治療方法
保存療法
軽度の場合や、麻酔へのリスクが高い場合は、鎮痛剤、サプリメント、炎症を抑える治療、運動の制限、太らないように体重管理などが行われます。根本的な治療ではないので悪化する可能性はありますが、サプリメントや投薬で炎症を抑えたり、筋肉をつけて関節への負担軽減ができる場合もあります。
外科治療
膝の滑車溝を深くして膝蓋骨が脱臼しにくいようにしたりさまざまな術式があります。グレード、年齢、犬種などによって異なるため、獣医師とよく相談するようにしましょう。
予防・家でできるケア
適度な運動
過度な運動は膝に負担がかかってしまうためよくありませんが、適度に運動し筋肉をつけることは大切です。
体重管理
肥満状態では膝に負担がかかってしまいます。普段の食事やおやつの量を調節し、太らないようにすることが大切です。
生活環境
フローリングなどで地面が滑ってしまうと膝に負担がかかってしまいます。滑らないようにカーペットを敷くと安心です。
また、肉球の間から生えてくる毛が伸びてくると滑りやすくなるので、定期的にカットしましょう。
実際にかかった費用
私の愛犬も健康診断で両方の後ろ足が膝蓋骨脱臼グレード3と診断され、外科手術をしました。突然のことでとても驚きましたので、参考にしていただければと思います。また、私の場合は、念の為ふたつの病院で診てもらい、手術ができる病院を紹介してもらいました。
※動物病院や術式によって費用は変わります。あくまで参考程度にしてください。
診察料 | 1,650円 |
術前検査(血液検査、X線検査など) | 25,850円 |
手術費用(両膝) | 198,000円 |
手術に係る費用(麻酔、点滴、注射など) | 101,200円 |
入院費用(5kg以下、6日間、入院中の治療) | 56,100円 |
合計 | 382,800円 |
上記の内容に加えて、リハビリのための通院があり、1回5,000円程度を4回ほどかかりました。費用の一部はペット保険で賄うことができたので、保険に加入しておいて良かったと思いました。
術後はエリザベスカラーを着用し、しばらくケージ内で安静に過ごすケージレストを行うように指示され、愛犬にとってもストレスだったのを覚えています。グレードによっては外科手術以外の方法も提案してくれるかと思いますので、獣医師としっかりと相談し治療してあげることをおすすめします。
食事について
膝蓋骨脱臼(パテラ)に効果のある食材やレシピはありませんが、関節に負担をかけないように太らせないことが大切です。適正な体重が維持できるように、ちょうど良い量をあげるようにしましょう。おやつは1日の量の10%に抑えないと栄養バランスが乱れたり、カロリーオーバーになってしまいます。あらかじめタッパーなどに1日分を用意しておくとあげすぎを防ぐことができます。
関節のサポートにコンドロイチンやグルコサミンのサプリメントがありますが、経口摂取でどれくらい効果があるかはわかっていません。このようなサプリメントに頼りすぎず、効果が見られない場合はいったんやめてみて他の治療に費用を充てて見ても良いと思います。
まとめ
小型犬が多い日本では、膝蓋骨脱臼(パテラ)はとても身近な病気です。外科手術による治療は根本的な解決になりますが、麻酔への不安や年齢などを理由になかなか思い切れない方も多いかと思います。早めに気づいてあげることで、他の治療の選択肢も増える場合がありますので健康診断などで定期的に診てもらったり、歩く様子がいつもと違わないかよく観察しましょう。