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犬の食事と尿石症(尿路結石)の関係性は?注意したい栄養素も解説

Instagramで手作り犬ごはんのレシピや犬の健康に関する情報を発信しているリーリャ編集部(@lilya_foods)と申します。手作り犬ごはんの基本については手作り犬ごはんの作り方・レシピや注意点(量や食材、味付けなど)を解説で詳しく説明しています。 今回は、犬の食事と尿石症の関係について解説します。尿石症の種類や気をつけたい栄養素について調べることができます。

SNSで手作り犬ごはんの情報を発信していると、病気の時に効果のある食材や栄養素はないかという質問をよくいただきます。腎臓病の次に多いのが、尿石症(尿路結石)の場合の食事の質問です。「普段から気をつけることは?」「何が食べられるの?」など毎日の食事に関わることが多いかと思います。今回は尿石症(尿路結石)の中でも特に多いストラバイト尿石症とシュウ酸カルシウム尿石症についてと、食事の関係を解説します。

結石の種類

腎臓から尿路までの尿路系にできる結石のことを尿石と呼びます。腎臓にできた場合は腎臓結石、膀胱にできた場合は膀胱結石、尿道にできた場合は尿道結石という風に、結石ができた場所で呼び方が変わります。尿石によって起こる症状を尿石症と呼び、犬が罹る代表的な尿石症の種類はストラバイト尿石症、シュウ酸カルシウム尿石症があげられます。いずれの犬種も結石ができる可能性はありますが、シーズー、パグ、ヨークシャーテリアなどが多い傾向があると言われています。

ストラバイト尿石症(リン酸アンモニウムマグネシウム結石)

ストルバイトとも表記され、犬・猫ともに発生率が高いと言われています。尿中にリン酸アンモニウムマグネシウムが増えすぎてしまうことと、尿pHがアルカリ性に傾くと結晶化してしまいます。膀胱炎など感染症に伴うことが多いようです。尿中のphを変えることで溶かすことができる特徴があります。

シュウ酸カルシウム結石

尿中のカルシウムとシュウ酸が増えすぎてしまい、尿が酸性に傾くと結晶化しやすくなってしまいます。他にも、マグネシウムの過剰な制限、ビタミンDの過剰摂取、消化の悪い食物の摂取などが関わっています。ストラバイト結石と違い、溶けないですが食事による予防は可能です。

症状

どちらの尿石症も、食欲不振、嘔吐などのほか、結石の種類によっては血尿、痛み、急性腎不全などがみられます。その他にも尿にキラキラしたものがある・トイレに行くがなかなか出ない(出ししぶり)など普段とは違う様子もみられる場合があります。

検査

排尿時の様子などの聞き取り、尿検査や血液検査で結晶や細菌の状態を確認したり、X線検査などによる結石の確認が行われます。

治療

緊急性のある場合や結石の溶解ができない場合は、手術を行って取り除きます。溶かすことができる場合や術後の予防では主に食事療法が行われます。ストラバイト尿石症の場合はタンパク質、リン、マグネシウムを抑えた食事が推奨されていますが、成長期などの場合は、成長不良や免疫力の低下にもつながる恐れがあるため適切な管理が必要です。シュウ酸カルシウム尿石症では、食事による溶解はできず外科手術によって取り除くしかありません。

食事による予防

尿石症になってしまうと、治っても再発する可能性が高いことも厄介な特徴です。そのため、獣医師から一生療法食を与えるよう指示される場合もあるようです。再発を予防するため、注意したい食材を把握するようにしましょう。

ストラバイト尿石症の場合

リンやマグネシウムが多く含まれるものは避けた方が良いとされています。小魚やジャーキーなどのオヤツには多く含まれる傾向があり、注意しましょう。

注意したい身近な食材リン(100gあたりの含有量 mg)マグネシウム(100gあたりの含有量 mg)
煮干し(かたくちいわし)1,500230
干し桜エビ1,200310
パルメザンチーズ85055
鰹節79070
釜揚げしらす32048
鳥レバー30019

シュウ酸カルシウム尿石症の場合

過剰なカルシウムやシュウ酸を含む食材を避けることや、シュウ酸のもとになるビタミンC(アスコルビン酸)を多く含む食材を取りすぎないことなどが言われています。ほうれん草にはシュウ酸が多く含まれることで有名ですが、他にも含まれている食材はあります。何に多く含まれているのかを把握するようにしましょう。また、シュウ酸は茹でることで溶け出す性質があるので、手作りごはんでは調理法を工夫することで減らすことができます。市販のフードをあげている場合でも、トッピングやおやつで上げる場合があるかもしれませんので注意しましょう。

シュウ酸の含まれる代表的な食材100gあたりの含有量(mg)
ほうれん草(生)700
オクラ(生)100
サツマイモ(皮付き、生)100
里芋(生)100

結石に影響する栄養素とは

水分

水分摂取量が少ないと、尿の濃度が高くなると尿石ができやすくなるとされています。また、秋から冬にかけては気温も下がってくることもあり、飲水量が減る傾向があると言われています。療法食では、水分摂取を促すため、塩化ナトリウム(食塩)を多めに添加している場合がありますが、腎臓病や心臓病などでナトリウム摂取量を制限している場合は注意が必要です。好みのタイプの給水機や器の種類、設置する場所を工夫して水を飲みやすい環境を作ってあげましょう。ウェットフードのような水分量の多い食事は、排尿の頻度を増やすことができます。排尿の回数が増えることで結晶の成長が抑えられるため、水分を積極的に摂ることは推奨されています。

リン

ストラバイト尿石症ではリンを多く含む食事は避けることが推奨されています。逆にシュウ酸カルシウム尿石症では、過度にリンを制限するとカルシウムの吸収が促進されるので、適度なリンの摂取が必要とされています。状態に応じて適切なバランスの摂取・制限が必要となります。

マグネシウム

ストラバイト尿石症ではマグネシウム摂取をさけ、尿中の濃度を下げることが推奨されています。逆にシュウ酸カルシウム尿石症では、マグネシウムを適度に補給することでシュウ酸カルシウム結晶の形成を妨げるとされています。リンと同様に、状態に応じて適切なバランスの摂取・制限が必要となります。

タンパク質

過剰なタンパク質の摂取は尿素の排泄が多くなります。尿素が分解されるとアンモニアが生じ、アルカリ性の尿になります。また、ストラバイト結晶はタンパク質と結合し、結石となってしまいます。ささみや鶏むね肉は低カロリーで、手作りごはんでもよく使われますが高タンパクですので使用する場合は量に注意が必要です。シュウ酸カルシウム尿石症でも過剰なタンパク質の摂取は避ける方が望ましいとされています。

手作りごはんと尿石症の影響

気をつけるべき栄養素は先述と同じですが、何より食事から摂れる水分が違います。水分摂取は純粋に水だけではなく、食事からの水分も含まれています。普段から水をたくさん飲んで欲しくても、素直に飲んでくれない場合が多いかと思います。水分を多く摂ることで排尿の頻度を多くして結晶が作られることを予防しましょう。

まとめ

ストラバイト尿石症とシュウ酸カルシウム尿石症が特に多いとされていますが、気をつけるべきポイントが違うことがわかりました。ストラバイトに気をつけていたらシュウ酸カルシウム尿石症になってしまったというお話も聞いたことがあります。普段と違う様子が見られたらまずは獣医さんに見てもらいましょう。そして、予防のためにも水分摂取量を増やすような工夫が必要です。

参照
文部科学省 食品成分データベース
小動物の臨床栄養学 第5版

lilya編集部
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