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犬の肝臓病とドッグフードの選び方・気をつけるポイント

Instagramで手作り犬ごはんのレシピや犬の健康に関する情報を発信しているリーリャ編集部(@lilya_foods)と申します。手作り犬ごはんの基本については手作り犬ごはんの作り方・レシピや注意点(量や食材、味付けなど)を解説で詳しく説明しています。 今回は、肝臓病の犬の食事で気をつけなければならないポイントとドッグフードの選び方について解説します。肝臓病の基本知識から対処法、検査方法などについて調べることができます。

健康診断などで血液検査をした際、肝臓や腎臓の話題が出ることが多いかと思います。肝臓は再生能力が高く、沈黙の臓器といわれています。ペットも人間も長寿化が進み、どうしても体調の変化が出てくることが多くなります。

肝臓の働き

肝臓は様々な代謝に関わっており、糖質代謝、脂質代謝(胆汁の分泌)、タンパク代謝、ホルモン代謝、ビタミン代謝のほか、解毒など様々な働きがあります。肝臓自体の再生能力が高いのも特徴です。ただし、沈黙の臓器と呼ばれる通り、機能が低下しても症状が現れにくく、早期発見が難しいという特徴もあります。定期的に健康診断を受けて、愛犬の状態を把握しておくようにしましょう。

犬の肝臓病とは?急性肝炎と慢性肝炎の特徴と違い

急性肝炎の特徴

レプトスピラ症や犬伝染性肝炎などの感染症、キシリトール中毒、農薬や薬物による中毒などで急激に肝臓の細胞が壊死してしまい、機能できなくなってしまいます。何が原因となっているかを突き止めることが重要です。キシリトールガムは濃度が高いので誤食に注意しなければいけません。ゴミ箱の中を漁られないようにするなど、家庭内での環境づくりも影響しますので一度見直してみましょう。

急性肝炎の症状

感染症や中毒物質などの影響で、急激な肝臓へのダメージにより、嘔吐や下痢、元気がなくなる他、黄疸(体が黄色くなる)が出ます。重度の肝不全では、肝性脳症になってしまい、痙攣や旋回、斜頸などの症状がみられます。

急性肝炎の対応・予防

急性肝炎の場合、中毒によるものが多く、原因を突き止めて取り除くことと回復が行われます。また、安静にすることも治療の基本としつつ、点滴や感染予防をしながら体力の回復をしていきます。嘔吐などの症状がおさまったら肝臓への負担の少ない食事療法が行われます。低脂肪、低タンパク質で肝臓への負担を抑えながら、炭水化物でエネルギー補給をする内容ですが、バランスについては明確な基準はないようです。

慢性肝炎の特徴

遺伝的な要因や薬物など中毒物質によるもの、感染症などさまざまで、原因がわからない場合も多いと言われています。ベドリントンテリアでは銅が肝臓にたまることで、高確率で肝炎がおこることが知られています。他にもウェスティ、ドーベルマン、ダルメシアンなどにも肝炎がよくみられるとされています。

慢性肝炎の症状

時間をかけ肝臓の炎症が続く状態で、食欲の低下、体重減少、嘔吐、下痢、黄疸(体が黄色くなる)などがみられます。進行すると、肝臓が小さく硬くなってしまう肝硬変や解毒できなくなったアンモニアなどが血液に乗って脳に行き、神経症状などがみられる肝性脳症になる場合があります。

慢性肝炎の対応・予防

原因がさまざまでわからない場合も多いですが、出ている症状をみて治療を進めるようになります。例えば、銅の蓄積によるものは亜鉛の摂取や感染症に対する治療などがあげられます。

肝臓病で行われる主な検査方法

血液検査

主に肝疾患の指標となる数値を参考基準値と比べて診断に使われます。他の疾患の影響も受ける場合があるため、それぞれ単独で判断せず、総合的に判断されます。
※参考基準値は検査機関や機械によって違いがあります。

GPT(ALT):参考基準値17〜78

グルタミン酸ピルビン酸トランスアミナーゼ。肝細胞に多く含まれている酵素です。肝細胞が壊れていると血液中に流出してしまい、この数値が上昇してしまいます。

GOT(AST):参考基準値17〜44

グルタミン酸オキザロ酢酸トランスアミナーゼ。こちらも肝細胞が壊れていると血液中に流出してしまう酵素です。

ALP:参考基準値0〜89

アルカリ性ホスファターゼ。肝臓や胆道系に多く含まれています。胆汁の流れが悪くなるとこの数値が上昇するとされています。

GGT(γ-GTP):参考基準値0~14

γ-グルタミルトランスフェラーゼ。肝細胞に多く含まれており、肝臓系、胆道系の疾患で上昇する数値とされています。

画像診断

レントゲンやCTスキャン、超音波などで腫瘍の有無、臓器の状態の評価を行います。

生化学検査

正確な診断には、針を刺して細胞を採取したり、全身麻酔をして開腹し、組織を病理検査します。

肝臓病をもつ犬のドッグフードとは?手作りごはんの場合も

療法食

症状によって変わるので一概にはいえませんが、消化しやすい良質なタンパク質を使用したり、銅の含有量を制限したりしているものがあります。タンパク質と脂質を制限し、炭水化物を多く含むことでエネルギーを補っています。ほかにも抗酸化作用としてビタミンCやビタミンEの補給も推奨される場合があります。様々な種類のものがあり、栄養バランスも異なります。自己判断でインターネットで購入せず、獣医師の指導のもと、症状に合わせたものを選ぶようにしましょう。

手作りごはんの場合

タンパク質や脂質、銅を制限しながら炭水化物を増やすことは可能かと思います。しかし、手作りごはんではカルシウムと亜鉛が高確率で不足しますので、食材から亜鉛を強化したい場合は困難です。亜鉛が豊富な食材は牡蠣や牛肉などがありますが、こちらに注目しすぎるとタンパク質や脂質が多くなってしまい、不自然なレシピになってしまいます。サプリメントで補うほうが確実ですが、症状によって細かな計算が必要なので、まずは療法食から取り掛かるほうが安全です。

肝臓病予防するために気をつける栄養素について

状態によりますが、栄養素によっては制限した方が良い場合があります。愛犬の状態をみて、獣医師と相談のうえ取り組んでいきましょう。

気を付けたい栄養素

タンパク質

タンパク質が体内で代謝されると、アンモニアもできてしまいます。アンモニアは有害なので肝臓で解毒されますが、肝機能が低下していると解毒されず血液中に残ってしまい悪影響が出ます。その際はタンパク質を制限する場合がありますが、肝臓の再生にはタンパク質も必要なので最低限摂取する必要があるとされています。ささみ、チーズなどは低脂質でタンパク質を補いやすい食材です。

脂質

エネルギーとして使用しない脂肪は肝臓に蓄えられ、必要な時に使われます。エネルギー源となりますが、胆汁うっ滞や肝リピドーシスなどの場合は制限が必要になります。

ベドリントンテリアのような一部の犬種では、遺伝的に銅を肝臓にためやすく、銅蓄積性肝障害を引き起こすことが知られています。

ナトリウム

肝硬変などをともなって腹水の症状がある場合は、ナトリウムを制限する場合があります。

強化したい栄養素

抗酸化物質

ビタミンCやビタミンEは体内の酸化を緩和し、回復が期待されます。ブロッコリーやピーマン、カボチャなどに多く含まれています。必要に応じてサプリメントで補う場合もあります。

糖質

エネルギー源としてたんぱく質が使われることを節約するために十分な糖質を与えることが勧められます。また、負担軽減のため、少量を複数回に分けてあげる場合もあります。さつまいもやじゃがいもは水溶性食物繊維も含んでおり、増えてしまったアンモニアの吸収を抑制する働きがあります。

亜鉛

肝臓を保護する作用があり、銅の吸収を阻害する働きがあるとされています。必要に応じてサプリメントで補う場合があります。

まとめ

再生能力が高い肝臓は、早期発見が難しいため、健康診断などで定期的な検査を習慣づけましょう。遺伝的な要因などで、肝疾患になりやすい犬種は特に気にかけてあげた方が良いと言えます。急性肝炎についてはワクチン接種や、誤飲・誤食を防ぐ対策を日頃から講じることで愛犬を守ることができます。薬屋食品などの管理に気をつけたいところです。食事でのケアは肝臓の状態によって、何を制限するか・積極的に摂るかが変わるので、獣医師とともに取り組みましょう。まずは肝臓を休めるという意味でもジャーキーのようなおやつを控えたり、免疫力を低下させるストレスを減らす環境づくりも有効と言われています。

lilya編集部
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