Instagramで手作り犬ごはんのレシピや犬の健康に関する情報を発信しているリーリャ編集部(@lilya_foods)と申します。手作り犬ごはんの基本については手作り犬ごはんの作り方・レシピや注意点(量や食材、味付けなど)を解説で詳しく説明しています。
今回は、犬の歯磨きの重要性や方法について解説します。
ペット用品店のケア用品コーナーでも必ずと言っていいほど歯ブラシや歯磨きシートなどの歯磨き用品が販売されています。歯磨きしたほうが良いんだろうな・・・と思っていてもなかなかできないでいるという方も多いのではないでしょうか。歯磨きの必要性や方法などを見ていきましょう。
犬の歯磨きの重要性とは?
人間と同様に犬・猫ともに歯磨きが推奨されています。人間とは口腔内の環境が違い、歯垢が歯石になるサイクルが早く、歯周病や歯肉炎になりやすいのです。重度の歯周病では顎の骨を溶かし貫通してしまったり、内臓にも悪影響がでることがあります。付いてしまった歯石はブラシで取ることはできませんが、歯石化する前に歯磨きをして予防するようにしましょう。
歯磨き粉やブラシの選び方 – 犬に合ったアイテムを選ぶポイント
歯磨きに使うアイテムは?
歯磨きに慣れているかでも使えるアイテムが変わります。慣れていない状態で、口の中に歯ブラシを入れると嫌がる場合が多いでしょう。まずは口や歯に触れられるようになり、徐々に歯ブラシに移行するようなイメージで進めていきます。小型犬や鼻の低い犬種は、小ぶりなものの方が無理なく口の中で動かしやすくなります。
デンタルトイ:初級
ロープやでこぼことした特殊な形状のおもちゃを噛むことで、歯についた食べかすなどを落とす狙いがあります。歯の表面の食べかすなどはある程度取り除けるかもしれませんが、歯周ポケットや歯茎のマッサージができません。これだけに頼らず、歯ブラシと併用する方が良いと思います。
デンタルガム:初級
デンタルトイと同じく、歯の表面しか磨けず、歯周ポケットや歯茎のマッサージができません。また、飼い主が手で持ちながらゆっくりと歯の位置を変えて噛ませないと効果が期待できないので、少々コツが必要です。お留守番の時に与える人もいると思いますが、効果が期待できないことと、丸呑みして詰まらせてしまう危険性もあるのでおすすめされていません。
スプレータイプ:初級
有効成分が含まれたスプレーやリキッドを口の中に吹きかけたり、飲み水の中にたらすだけで簡単にケアすることを目的にしています。歯石になりにくい口内環境にしたり、歯ブラシと合わせて使うことで効果アップが図れます。ブラシなどのように歯茎のマッサージなどはできませんが、歯磨きの入門編として取り入れやすいです。
歯磨きシート:初級〜中級
指に巻いて歯を磨きます。細かな部分が磨けないのが難点ですが、口を触らせてくれるけど歯ブラシには慣れていない場合に有効です。シートを少し水につけて使うものや、有効成分が含まれているものもあります。
指サックタイプ:初級〜中級
指サック状のものの先端にブラシがついているものです。シートよりも凹凸のあるところで磨きやすいです。指の太さにブラシの厚みが加わるので、口の小さい犬や指が太い人には不向きなことが難点です。前歯だけ指サックタイプにするように使い分けても良いかもしれません。構造的に抜けてしまうことが考えられるので、抜け落ちないようなループ付きのものが安全です。
歯ブラシ:中級〜上級
歯茎のマッサージや歯と歯の間や歯周ポケットの内部も掃除できるよう、柔らかく細い毛のものがおすすめです。人間用のものも使えなくはないですが、毛がかたすぎたりヘッドが大きすぎて嫌がってしまう場合があります。特に小型犬や鼻の短い犬種の場合は、犬用の小ぶりなで柔らかいもののほうが使いやすいでしょう。
歯磨き粉・歯磨きペースト
犬の歯磨きにおいて、歯磨き粉や歯磨きペーストは必ず使わなければいけないものではないとされています。有効な成分を含んでいたり、甘い味がついていて嫌がらないようにする効果が期待できます。また、人間と犬の口腔内の環境は違いますので、人間用の歯磨き粉は使ってはいけません。
正しい犬の歯磨き方法 – 手順やコツをわかりやすく解説
犬の口の中はどうなっている?
犬の葉の数は切歯、犬歯、臼歯合わせて全部で42本あります。それぞれ食べ物を切り裂いたり、すり潰したりする役割があります。犬は虫歯にはなりにくいですが、歯周病にはなりやすいとされています。また、人間とは口腔内の環境が違うので、歯石になるスピードも早いです。食べ物を食べた後、6〜8時間ほどで歯垢となって歯に付着します。その後、歯垢に唾液に含まれるミネラルなどが沈着し3〜5日で歯石になってしまいます。
歯磨きの手順
いきなり歯磨きができる子はなかなかいません。ゆっくり焦らず、何日かかけてでも構わないので段階を踏んで慣れていってもらうことが大切です。無理強いすると歯磨き嫌いになってしまい、日々のケアが大変になってしまいます。
1.歯に触る
まずは歯に触れるようになりましょう。焦らずゆっくりで良いので、少し触れたら褒めてあげましょう。
2.口をめくる
次は唇をめくってみます。同じく焦らずゆっくりと、めくれたら褒めてあげましょう。
3.歯ブラシに慣れてもらう
歯ブラシに慣れてもらうために匂いを嗅いでもらったり、軽く触れてみたりして、怖くないことを確かめてもらいましょう。徐々に歯ブラシを持ちながら口に触ったり、歯に触れたりしてさらに慣れてもらいます。
4.歯ブラシを口に入れる
優しく唇をめくって歯ブラシを口に入れましょう。適宜褒めてあげて口の中で歯ブラシを動かすことに慣れていってもらいます。
5.歯ブラシで優しく磨く
口の中に入れたら優しく磨きます。前後に動かしたり、縁を描くように動かしていきます。このとき、45度くらいの角度で歯周ポケットのなかもケアできます。また、歯茎付近を優しく磨き、歯垢のもとになるねばねばを取り除くことが大切です。こまめにコップに溜めた水で歯ブラシをゆすぎましょう。
歯石の予防方法 – 歯磨きだけではない口内ケアのポイント
歯石の原因は?
口の中のねばねばしたものはペリクルと言って、唾液に含まれる糖とタンパク質からなり歯を守る役割もあります。しかし、粘りがあるので細菌などが付着して歯垢となっていきます。歯垢は食べかすではなく細菌の塊です。その後、3〜5日で歯垢に唾液に含まれるミネラルがくっつき歯石という硬い状態になります。歯石の中で細菌が働くことで、歯を溶かしたり歯周病へとなってしまいます。歯石になってしまうと歯ブラシでは落ちなくなってしまいます。状態によって病院で適切に除去する必要があります。病院での歯石除去は全身麻酔になるので、他の処置と合わせて行う場合もあるようです。
歯石がついてしまったら
ついてしまった歯石は歯ブラシでは落とせません。重度の状態でなければ、すぐに歯石除去をすることにはならない場合が多いと思いますので、まずは獣医師に状態をみてもらいましょう。日々のケアを続けることで歯石や歯周病予防になるのでぜひ諦めずに習慣にしたいですね。
歯石除去について
無麻酔での歯石除去をしているサービスを多く見かけますが、危険な行為であり獣医師会等でも、そのような処置はしないように注意を促しています。人間の場合、治療に協力できるので歯石除去で麻酔は使いません。しかし、犬や猫などは当然動いてしまうので、安全な治療に麻酔をかけることは欠かせません。歯の表面の歯石だけでなく、歯周ポケット内の歯石や仕上げのポリッシング(磨き)をしないと、歯の表面がでこぼこになり歯石がつきやすくなってしまいます。そのほかにも、鋭利な器具を使うので、治療中に口の中を傷つけてしまう恐れや、無理に抑えることで圧迫や顎の骨を骨折してしまう危険性も言われています。無麻酔で歯石除去後、口や顔を触られることを嫌がるようになってしまうこともあり、日々のケアが困難になることもあります。
無麻酔での歯石取りの危険性
https://www.sadsj.jp/guideline
犬の歯磨きが健康に与える影響
犬の歯磨きは、歯垢や歯石の除去により、歯周病や口臭の予防につながります。歯周病は、歯肉の炎症や歯槽膿漏などの症状を引き起こし、重篤化すると歯の抜歯や全身疾患の原因になることがあります。また、口臭は犬の健康状態を示す指標の1つであるため、口臭の予防にも繋がります。
歯磨きのタイミング
犬の歯磨きは、長くとも3日に1回は行うのが望ましいですが、可能であれば毎日がベストです。必ずしも毎回、全部の歯を完璧に磨かなくても大丈夫です。散歩の後や寝る前など習慣的に行い、今日は上の歯・明日は下の歯というようにすれば短時間で済みます。
歯に詳しい動物病院の探し方
たくさんの動物病院の中から、より歯科に詳しい知識や技術を持つ獣医師を探したい場合はどうやって探せば良いのでしょう。
日本小動物歯科研究会という獣医師などからなる研究会があります。技術や知識の向上を目的とし、セミナーや実習を行っています。Googleなどの検索エンジンで「日本小動物歯科研究会 〇〇〇〇(住んでいる地域)」と検索すると、その地域で研究会に所属していたり、認定医がいる病院を探すことができます。
まとめ
歯磨きは子犬の頃から始めることで、慣れるのも早く習慣にしやすいでしょう。食後や散歩の後、寝る前など決まったサイクルで行うことで無理なく取り組みやすいです。歯石になってしまったら無理にご家庭で取ろうとせず、まずは獣医師に相談しましょう。現状では、無麻酔での歯石除去は危険性が高いため行わないようにしましょう。歯周病は口の中だけでなく、細菌が血液に乗って全身に行き渡り悪影響が出てしまいます。嫌がるからと言って諦めてしまう前に、病院やトレーナーに相談するという手段もありますので、根気強く取り組んでみましょう。