「市販のドッグフードを食べてくれない」、「美味しいごはんを食べてほしい」、「病気に合わせた食事を作らないといけない」など様々な理由で手作り犬ごはんを作りたいと思っていても、栄養バランスや作り方など分からずに困っている方はたくさんいると思います。この記事では、そのような方に向けて手作り犬ごはんの初歩やレシピ、必要なアイテムについて解説します。
手作り犬ごはんを作るうえで最低限知っておくべき知識
総合栄養食とAAFCO
総合栄養食とは
ペットフード公正取引協議会のHPによると、「犬や猫が必要とする栄養基準を満たした、「毎日の主要な食事」として与えるためのフードです。新鮮な水と一緒に与えるだけで、それぞれの成長段階における健康を維持することができるように、理想的な栄養素がバランスよく調製されています。 総合栄養食には、そのペットフードが適応する成長段階が必ず表記されています。」となっています。この栄養基準はAAFCOが設定した栄養基準をもとにしています。
AAFCOとは
AAFCO(Association of American Feed Control Officialsの訳、全米飼料検査官協会)は、ペットフードの品質や安全性に関するガイドラインを決めています。この協会は法的な権限を持っているわけではありませんが、多くのメーカーや国々がAAFCOの基準を参考にしており、日本で販売されているペットフードもこの基準にもとづいたものが販売されています。現在は2016年に決められた栄養基準が最新となっています。
一般的な食材だけではAAFCOの栄養基準を満たすことは困難
一般的な食材だけで作ろうとすると、どうしてもミネラルとビタミンが不足してしまうことが多く、無理やり作ろうとすると、特定の食材を大量に使うことになり費用やわんちゃんの食いつき面で無理のある設計になります。そのため手作り犬ごはん専用サプリメントで不足分を補完することをお勧めします。
手作り犬ごはんに必要な食材と道具
基本となる必要な食材は肉類、野菜類、炭水化物の3種類で、よく「塩などの調味料は必要ですか?」と聞かれますが、食材に含まれている塩分で十分なので入れる必要はありません。書籍によっては分かりやすく炭水化物:肉:野菜の割合が1:1:1と記載している場合がありますが、実際に栄養計算をしてみると1日に必要な栄養に対してタンパク質が多くなってしまう傾向にあります。
レシピ例
リーリャの犬ごはんでご紹介している手作り犬ごはんレシピの中でも初心者向けのレシピに「卵と緑黄色野菜のごはん」がありますので簡単にご紹介します。詳細はこちらをご覧ください。
材料
体重4kgの避妊・去勢済みの成犬の1日分を基準としています。
ゆで卵 84g
炊いた白米 64g
ピーマン 48g
ミニトマト 40g
水菜 42g
じゃがいも 42g
カボチャ 42g
煮干し(カタクチイワシ) 4g
すりゴマ 4g
水 80cc
作り方
①卵は茹でておきます。
②材料を細かくカットし計量します。
③トマト、じゃがいも、かぼちゃ、水を入れて弱火で加熱します。
④柔らかくなったらピーマン、水菜を入れます。
⑤ピーマンが柔らかくなったらOK。
⑥火を止めて炊いた白米、煮干し、すりゴマを入れてよく混ぜて完成です。
手作り犬ごはんをはじめる際に便利&必要なものをご紹介
包丁
使い慣れているもので構いませんが、硬いものを細かく切り分ける時も多いので、三徳包丁くらいの厚さ・刃渡りがある方が使いやすいです。
フードプロセッサー、ハンドミキサー
手作り犬ごはんは、犬が一口で食べられる大きさまで細かくすることが基本のためフードプロセッサーなどがあると便利です。
おすすめ
パナソニック フードプロセッサー
フードプロセッサーの中でも容器やカッターまで食洗機で洗うことができるので、お手入れが簡単で衛生的です。価格も高すぎないのでまずはこの一台から始めても良いかもしれません。
ブラウン ハウスホールド(Braun Household) ブラウン マルチクイック
アタッチメントがいろいろついていますが、刻む時に使うチョッパーがフードプロセッサーと同じような役割をしてくれます。特にブラウンはモーターの強力さに定評があります。
キッチンスケール
栄養計算しているレシピであれば材料の計量はきちんと行う必要があります。特に手作り犬ごはん専用サプリメントを使う場合は0.1g単位で計ることができるものを使用してください。
おすすめ
タニタ デジタルクッキングスケール KJ-212
体重計やタニタ食堂などでも有名なタニタのスケールです。お菓子作りやパン作りにも使えるように0.1g単位で計量が可能ですので、手作り犬ごはんに粉末サプリメントを足す場合にも重宝します。正確性はもちろん、カバーを外して洗うことができたり、フック穴がついていて収納にも便利なのが特徴です。なお、0.1g単位での計量は合計で200gまでの重さで表示することができます。
保存容器
手作り犬ごはんは毎食作っていると大変なので作り置きをしておくのが便利でお勧めです。冷蔵か冷凍かという保存方法で注意点や使うものが変わってきます。冷蔵で保存する場合は1〜2日程度で食べ切るようにしてください。お皿などにラップをかけて保存しても構いませんが、他のにおいの強い食材からにおいが移ってしまう可能性がありますので、タッパーなど密閉性の高いものがおススメです。冷凍する場合は製氷皿のような小分けにできるトレーが必要な分だけ解凍できるので便利です。重ねて保管できるように蓋がついていたり、お手入れが楽な食洗機対応かどうかも選ぶポイントです。
おすすめ
ジップロック スクリューロック
ジップロックの保存容器は、サイズも豊富で電子レンジや食洗機にも対応している丈夫な点が嬉しいポイントです。蓋がスクリュータイプのものは液漏れしにくく、外出の際の持ち運びにも安心です。
リッチェル Richell わけわけフリージング ブロックトレー
ベビー用品でも人気のリッチェルの冷凍トレーは、サイズ展開が豊富で食洗機にも対応しているのが嬉しいポイントです。程よく取り出しやすい硬さです。
レック(LEC) 日本製 離乳食 フリージングトレー
リッチェルのものと同じようなつくりですが、こちらの方が柔らかい素材です。柔らかい方が取り出しやすいと感じる人もいますのでお好みで選びましょう。
お皿
陶器
陶器製は重さがあるため食べている時もずれにくく、傷がつきにくいので清潔に保ちやすい特徴があります。デザインも豊富でカラフルなものや可愛らしいものも多くありますので、気に入ったものを探す楽しさもあります。電子レンジや食洗機に使える点も嬉しい特徴です。どうしても割れることがあるので、持ち運びには向きません。
金属
ステンレスなどの金属製のものはデザインバリエーションが少ないものの、割れる心配がないので丈夫な点が最大の魅力でしょう。大きなサイズの商品も多いので、大型犬の場合は選択肢のひとつになります。陶器製のものに比べると軽量なので、旅行やキャンプなどにも持って行きやすいのもメリットです。底面にゴムパッキンなどで滑らない工夫がされているものの方がおすすめです。稀ですが、金属アレルギーのある犬もいるので、皮膚などに異常が見られた場合は使用を止めて動物病院で見てもらいましょう。
樹脂製
プラスチックやメラミンでできたもので、豊富なデザインから選ぶことができます。軽く丈夫なので旅行やキャンプにも持って行きやすいでしょう。また、比較的リーズナブルな価格のものも多いのも特徴なので、気軽に買い換えることができます。しかし、軽量なため食べている時にずれてしまいやすいデメリットがあります。滑り止めがついているものが良いですが、ひっくり返してしまう癖がある場合は不向きです。傷がつきやすいので衛生面や安全性から見ても、定期的に交換した方が良いでしょう。
折りたたみタイプは旅行の時も便利ですが、災害時にも重宝するものです、いざという時のためにもお水用と二つ用意しておくと安心です。折りたためるように柔らかい素材でできているため、耐久性は劣りますので気をつけましょう。
おすすめ
ル・クルーゼ(Le Creuset) ハイスタンド・ペットボール
調理器具で有名なル・クルーゼのペット用の食器シリーズです。ル・クルーゼらしい可愛らしい豊富なカラーと、陶器製でしっかりとした重さで食べている時も動きにくい実用性が魅力です。食洗機対応、電子レンジにも使える点も嬉しいですね。足がついていないタイプや大きさも4種類から選べたり、鼻が低いコでも食べやすい傾斜がついたものもあったりと丁寧なバリエーション展開です。
Epochtech ペット ボウル
シンプルなデザインでどんなお部屋のインテリアにも合わせやすそうです。食洗機や電子レンジにも対応している点も嬉しいですね。台には滑り止めの加工がしてあるので、食べやすくなっています。
猫壱(necoichi)ハッピーダイニング 犬用 脚付フードボウル
可愛らしい肉球柄があしらわれたこの食器は使いやすい特徴があります。足つきで食べやすい高さと、お皿のふちにかえしがあるので、ごはんがこぼれにくいつくりになっています。
Amazonベーシック ペット用 ボウル ステンレススチール製
ステンレス製のシンプルなお皿です。ステンレス製のため錆びにくく傷がつきにくい特徴があります。底面に滑り止めがついているので、食べている時にズレにくいつくりになっています。
ComSaf ステンレス製 浅広口 二層構造
猫用となっていますが、小ぶりで広めの口なので小型犬にも使いやすそうですし、角度をつけてあげれば鼻が低いコでも食べやすくなりそうです。シンプルながらも高級感のあるデザインも好印象ですし、食洗機対応なのでお手入れも楽にできます。
SUPERDESIGN 犬猫用ボウル
早食い防止になるようでこぼこが配置されたものです。底面にゴムで滑り止めが施されているので、食べている時にズレにくいつくりになっています。凸凹がある分やや洗いにくいですが、食洗機に入れられるのは便利です。
Pawaboo 蓋付き携帯ペットボウル
珍しい蓋付き折りたたみボウルです。軽いのでキャンプや災害用に持っておくのに適しています。使用後にバッグに入れても水滴がつかなかったり、ホコリやゴミが入らないように一時的に蓋ができます。2個セットなのもお得なポイントです。
食器台
あまり低い位置にお皿をおいて食べると、首に負担がかかりやすくなってしまいます。小型犬・中型犬は食道が水平になるくらいの高さがちょうど良いとされています。大型犬では、早食いを助長するので高すぎない方が良いという意見もあるので、食事中・食後の様子をみて調節してあげたほうが良さそうです。足つきの食器やスタンドとセットになっているものもあります。スタンド単体でも販売されているので、好みの組み合わせを探すのも楽しみです。
おすすめ
FUKUMARU 犬猫用スタンド付きセラミック食器、15度の角度つき、5種類のセット方法がある竹製のスタンド
FUKUMARUの食器台は15度の角度調節と三段階の高さが調節でき、ボウルも二つセットになっています。竹製のシンプルなデザインはインテリアに馴染みやすそうです。
スヌード・スタイ
水分量の多いごはんの時は、顔まわりや胸の毛が長いと濡れてしまいやすいです。そのためスヌードやスタイを使って汚れを防止をしてあげましょう。
おすすめ
Hazrth ハーズ 犬暑さ対策 耳汚れ防止 スヌード
Hazrthはサイズやカラー展開が豊富で愛犬にあったサイズが見つかりやすいでしょう。長さもあるので、耳の毛が長くてもカバーしやすいつくりになっています。
Plus Nao(プラスナオ) ペット用バンダナ スタイ
使いやすく可愛すぎないデザインなので、お散歩の時にも活躍しそうです。ポメラニアンやパピヨン、シェットランド・シープドッグなど胸の毛が豊富なコは特におすすめです。
スポンジ
人と同じスポンジで洗う場合も多いかと思いますが、衛生面から言うと犬用のスポンジを用意した方が安全です。犬から人に移る感染症(逆もあります)もあるので、乳幼児や抵抗力の弱い家族がいる場合は、念の為別のスポンジで洗いましょう。
おすすめ
猫壱(necoichi) ヌルヌル汚れも洗剤なしでキレイに落とす食器用スポンジ
猫向けの用品となっていますが、犬の食器にも使用できます。小ぶりなスポンジなのであまり大きくないお皿には使いやすいでしょう。洗剤なしでもヌルヌルが落ちると評判です。可愛らしいデザインで人間用と見分けがつきやすくなっています。
スコッチ・ブライト ハイブリッドネットスポンジ
日本上陸60年の安心と信頼のスコッチブライトのスポンジは、長持ちでへたりにくく長年愛されているブランドです。傷つきにくいネット素材でできているのが特徴です。
保存したごはんのあげ方
冷蔵の場合はそのままでも構いませんが、常温か人肌くらいに温めた方が食欲が増したりお腹が冷えることを防げるでしょう。冷凍保存したものは、必要な量を耐熱容器に移してレンジで解凍すれば大丈夫です。この時温めすぎると冷めるまで待たなければいけないので注意しましょう。おすすめとしては、散歩に行く前に半回答くらいにしておくと、食べる時に程よい状態になっています。時間がある場合は、前日から冷蔵庫でゆっくり解凍しても大丈夫です。
まとめ
手作り犬ごはんは、レシピと基本的な調理器具があれば簡単にはじめることができます。まずは気軽に始めてみて徐々に揃えていく形でもいいと思いますが、栄養不足にだけは気を付けてください。リーリャの犬ごはんでは栄養計算を行ったレシピを多数ご紹介しているので、ぜひ参考にしていただけると嬉しいです。
参考
文部科学省 日本食品標準成分表(八訂)増補2023年
文部科学省 食品成分データベース