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犬の歯周病を解説|症状の特徴、治療方法、予防、食事について

Instagramで手作り犬ごはんのレシピや犬の健康に関する情報を発信しているリーリャ編集部(@lilya_foods)と申します。手作り犬ごはんの基本については手作り犬ごはんの作り方・レシピや注意点(量や食材、味付けなど)を解説で詳しく説明しています。
今回は、犬の歯周病について解説します。その他の犬に必要な栄養に関する記事はこちらです。

犬の歯周病は非常に身近な病気で、3歳以上で8割が歯周病であるとも言われています。日頃の歯磨きなどのケアが大切ですが、歯周病になるとどのような影響があるのでしょうか。歯周病についての知識やケア方法を知って愛犬の健康を守りましょう。

犬の歯周病のポイント

犬の歯周病は、歯垢や歯石が蓄積して歯茎に炎症や感染を引き起こす病気の総称です。初期段階では口臭や歯茎の腫れなどの軽い症状が現れますが、進行すると歯が抜けたり、全身の健康に影響を及ぼす可能性があります。予防には、定期的な歯磨きやデンタルケアが重要で、早期発見のために定期的に獣医師にチェックしてもらいましょう。歯周病は早期に対処すれば改善できるため、日常的なケアが大切です。

歯周病の概要

症状

犬の歯周病は、初期には口臭が強くなる程度ですが、進行すると以下の症状が見られます。

1. 初期段階(歯肉炎)

  • ・口の中に細菌が増殖し、口臭が強くなります。
    ・歯垢が溜まり、歯茎が赤く腫れます。軽い炎症が見られることがあります。
    ・歯磨きや噛む行為で歯茎から出血することがあります。

2. 中期段階(軽度の歯周病)

  • ・歯茎が後退し、歯の根元が露出してきます。歯茎の色が暗くなり、健康なピンク色から変わります。
    ・歯が少しぐらつくことがあり、歯と歯茎の間に隙間ができる場合もあります。
    ・痛みや不快感があると食べ物を噛むのを嫌がる、食べる速度が遅くなるなどがみられます。

3. 重度の段階(進行した歯周病)

  • ・歯がひどくぐらつき、最終的には抜け落ちることがあります。
    ・歯と歯茎の間から膿が出ることがあり、さらに強い口臭が生じます。
    ・痛みにより食事をしにくくなり、食欲が低下することがあります。
    ・歯周病が進行すると、細菌が血流に乗って全身に広がり、心臓や肝臓、腎臓に影響を与えることがあります。これにより、体調不良や疲れやすさ、元気のなさが見られることがあります。

4. 末期段階(全身への影響)

  • ・歯周病の細菌が体内に広がり、内臓や関節に炎症を引き起こす可能性があります。これにより、全身の健康状態に悪影響を及ぼします。
    ・歯周病が原因で、心臓病や腎臓病などの重大な病気を引き起こすリスクが高まります。

原因

歯周病の主な原因は、口内に溜まった歯垢が歯石へと変化し、細菌が繁殖することです。適切な口腔ケアを怠ると、歯垢や歯石が蓄積し、歯周病へと発展します。

1. 歯垢の蓄積

犬の口腔内には多くの細菌が存在します。食事をした後、これらの細菌が食べ物のカスや唾液と混ざり、歯の表面に「歯垢」と呼ばれる粘着性のある膜を形成します。歯垢は定期的に除去しないと、歯石へと変化します。

2. 歯石の形成

歯垢が除去されずに放置されると、唾液中のミネラルと結びついて硬化し、「歯石」になります。歯石が形成されると、さらに多くの細菌が付着しやすくなり、歯茎への刺激や炎症が進行します。歯石は歯ブラシでは取り除けないため、動物病院での処置が必要になります。また、犬の口腔内は歯垢から歯石になるスピードが早く、早いと3日程度で歯石化してしまいます。

3. 不十分な口腔ケア

日常的な口腔ケア(歯磨きやデンタルケア)が不十分であると、歯垢や歯石が蓄積しやすくなり、歯周病のリスクが高まります。特に歯磨きを習慣化していない犬は、歯周病になりやすいです。

5. 遺伝的要因

一部の犬種は遺伝的に歯周病にかかりやすい傾向があります。特にマズルが短い犬種は歯並びがよくないことが多く、歯垢が溜まりやすく、歯周病になるリスクが高いと言われています。

治療方法

歯周病の治療は、症状の進行度によって異なります。軽度の場合は、歯石除去や抗生物質の投与が行われますが、重度になると、抜歯や外科的な処置が必要になることもあります。いずれの場合も、獣医師の診断と治療が不可欠です。治療の例として以下の処置があります。

歯石除去(スケーリング)

初期段階の歯周病(歯肉炎)は、歯石除去を行うことで改善されます。歯科用器具を使用して、歯の表面に付着した歯石や歯垢を取り除きます。スケーリングは、原則全身麻酔下で行われます。犬や猫は歯科治療に協力してくれるわけではないので、無麻酔で歯石除去を行っても歯周ポケット内の歯石除去や歯の表面の研磨(ポリッシング)まで十分に行うことができません。

獣医師免許を持たない者による無麻酔歯石除去

獣医師免許を持たない者の歯石除去が、獣医師法違反に当たるのではないかと取り沙汰されていましたが、2024年6月に国内で初めて獣医師法違反として書類送検された事例がありました。ドッグカフェやトリミングサロンで獣医師免許を持たないスタッフが無麻酔歯石とりを行っているケースをしばしば見受けますが、法律違反ですし愛犬に正しい処置をしてあげることができないだけでなく、健康被害に繋がってしまうこともあります。歯石をとりたい場合は、動物病院で不安に感じていることも含めて相談して処置するようにしましょう。

獣医師でないのに犬の歯石取った疑い ドッグカフェ経営者を書類送検(朝日新聞デジタル)
https://www.asahi.com/articles/ASS6C1CNRS6CPLZB004M.html

抜歯

歯周病が重度に進行し、歯がぐらついたり、保存が難しい場合は抜歯が必要になります。抜歯によって、感染源を取り除き、他の歯への影響を防ぎます。

予防

予防には、日常的な口腔ケアが最も効果的です。定期的に歯を磨くことや、デンタルケア商品を活用することで、歯垢や歯石の蓄積を防ぎます。また、定期的に獣医師の診察を受け、口腔内の状態をチェックしてもらうことも重要です。

家でできるケア

歯磨き

歯磨きは、最も効果的な歯周病予防法です。歯ブラシを使用し、毎日少しずつでも続けることが大切です。最初は嫌がる犬もいますが、少しずつ慣れさせていくことで、徐々に抵抗が少なくなります。

デンタルケア用品の活用

歯磨きが難しい場合は、デンタルガムやデンタルジェル、マウススプレーなどのケア用品の活用も検討することをおすすめします。歯磨きよりも効果は劣るかもしれませんが、できるケアを取り入れてみましょう。

動物病院での定期的なチェック

家でのケアに加え、定期的に獣医師による歯科チェックを受けることも重要です。早期に問題を発見し、適切な処置を受けることで、歯周病の進行を防ぐことができます。

食事について

食事の注意点

「ウェットフードや手作りごはんの方が歯垢がつきやすい」「ドライフードの方が歯垢がつきにくい」という意見も見受けられますが、はっきりとわかっていないようです。いずれの食事でも習慣的に歯磨きをして歯周病にならないようにすることが大切です。

lilya編集部
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